この映画が話題になってすぐから、どこかでLou Reedが歌うんだろうと思ってたが
かなり時間がたってからカセットテープ&カーステレオの音で流れてきて
ヨシッ!!と思った…
でも、この曲とは違う世界の映画、Wim Wendersらしい映画で
映画の世界観は、最後に流れるNina SimonのFeelin’ goodの
Wim Wendersとしての一つの解釈なんだろうと思う。
平山の夢?の中の世界が具現化されてこないこと、
猫と遊ぶ女性よりはどこにでもいそうな無表情な会社員?の姿に目線が行くところ、
そんなところにWendersの世界をかんじるけど、
そういえば田中泯さんが飄々と描き出すのは
Der Himmel uber BerlinのDamielが街に降りる前の姿と同じなのかな、と。
まさに題名の通りの美食家の料理と想い人に対する愛を描いた映画。
映像も美しく、主題の一つでもある食材・食卓の様子とともに
Benoît MagimelとJouliette Binocheという
現実でも良く理解しあっている二人ということによるのか
ロングショットの中で主役の二人の間に作られる眼差しや間合いが
独特の空気感を作り出す美しい映画だった。
ただ、台本の最後でPaulineの立場や役割をあやふやにしてしまうような、
そして情熱というところを気をつけて見ていないとテーマを見失いやすい
分かりにくいラストシーンへの流れと、
邦題にもなったpot-au-feuという料理が最終的にふるまわれることがなく
そのため劇的な展開を期待させる割にはぐらかされるような構成、
そのあたりが残念で、脚本と監督の意図にはちょっと疑問を感じた。
映画 La stranizza d'amuri(邦題『シチリア・サマー』)を見に行く。
1980年にあった事件を元にストーリーが構成された作品で
その事件を元に発足した団体ARCIGAYのことはもちろん知っていたけど、
そういうことは別にしても、映画として素晴らしい作品だった。
2時間を超える上映時間の映画だったけど、
その時間もあっという間に過ぎて言った感じ。
この間から近所の映画館でもロードショーになっているので
今週は2本目の映画を見にレイトショーへ。
Être et avoir, Retour en Normandie(これは帰国直前だったのもあってまだ見てない)の
Nicolas Philibert監督のドキュメンタリー映画«Sur l'Adamant»邦題『アダマン号に乗って』
映画館にいながら、気のおけない友達たちと楽しく過ごす約2時間のようだった。
この監督の映画は、ただのドキュメンタリーではなく
登場人物たちと、画面の中という場で一緒に過ごして
plein de vieという感触を実感できるところが好きで、
どの作品も楽しみに見に行く気になれる。
なんだか心が温まって帰ってくる土曜日の深夜だった。
来週で終わってしまうと分かったので、慌てて見に行った。
元お笑い芸人Danny Boonと賑やかなベテランのシャンソン歌手Line Renaudという
配役だけで、ちょっと可笑しな人間味のあるドラマを期待してしまう作品、
でも監督が『戦場のアリア』のChristian Carionっていうことで、
どうなってしまうんだろう?と思って見たかった映画。
全編を通して、台詞らしい台詞はこの二人しか出てこないんだけど、
そのやりとりと表情が素晴らしくて、
たかが90分ほどの映画なのに、タクシーに乗って見覚えのあるパリを巡り、
二人の会話と事件に笑わされて泣かされて、
気がつけば次の週になって、なんか癒されて帰ってきた感じ。
こういう映画が見たかったんだ。
この2年ぐらい、映画館に行くのも稀だったけど
年が明けて初めてのgrand écranは日本映画に。
ちょっと話題になっている濱口竜介監督、村上春樹原作の
ドライブ・マイ・カーがあまり混んでないみたいだったので
近所でやっていたし、見に行ってきた。
原作は短編小説だけど、村上春樹の文章の意味をくみ取ると
長い映画になるというのが分かる大作。
細部まで細かく(最後の15分ぐらいの台詞とか)を味わおうと思ったら
まずチェーホフの『ワーニャ伯父さん』を読んでおいたほうが良いのかもね。
ストーリーからも登場人物の立ち位置からしても、
『ワーニャ伯父さん』の翻案とも考えられる作品になってるんじゃないかな。
(原作がそうなんだ、という読み方をした、ということかもしれない)
ヨーロッパのヒューマンドラマ系の映画では良くあることで、
たいていは何でそうなるんだろう、と考えることになる。
今回は、見る前になぜ原題を訳さないんだろうと思ってたけど、
岩波ホールに見に行って、上映開始108分後に納得。
ライブとかの時に、曲の題名や歌い出しを日本語にできない現象と同じ。
La tenerezza 他の言語には訳せない、
おそらくイタリア特有の、自らへの痛みを伴った慈愛と優しさ。
主役のRenato Carpentieriも素晴らしいけど、
いろんな映画などで見てきたGiovanna Mezzogiornoの、
特に後半から最後にかけての人物の作り出し方が強烈に印象に残る。
ちょっとした時間ができたので、
渋谷までLa mort de Louis XIVルイ14世の死を見に行く。
Premier valet de ChambreであったLouis Blouinルイ・ブルアンの記録や
Saint-SimonのmémoiresやDangeauのjournalをもとにした
ルイ14世が世を去る直前、最後の4週間の徹底的な再現。
何かストーリー的な脚色や演出とかがあるのかと思ったら、
全く記録通りに、淡々とルイ14世の病状が悪化していく様子と
周囲の人々の困惑がが、記録ほぼそのままに描かれていく。
照明もほぼロウソクの明かりだけで、音楽もほとんど使わない、
まるでドキュメンタリー・記録映画を見るかのような緊張感。
映画ってこういう作り方もあるんだね。
ということで、一般的には正月の飾り付けとか、なんだろうけど、
日中は自転車を手入れしてから、来月(なんと来年!!)のライブの打ち合わせ&リハーサル。
今まで手を付けてない作曲家の曲も、今回は入れてみようかな、と。
で、夕刻は、これも一般には紅白歌合戦とかナントカ、なんだろうけど、
その時間帯は絶対に空いてる映画館へ。
おめあては Rogue One A Star Wars Story
ほんとうにガラガラ、500席以上あるホール★THXサウンドで、スターウォーズシリーズ向き(笑)に
両手に満たないほどの観客動員。
これで仕事してる人たちは可哀想だけど、きょうばかりは仕方ないよね。
スターウォーズのシリーズの中でも、
既存のストーリーからある程度の自由度があるせいか、
ちょっと違ったシリーズの中の逸話として見応えたっぷり。
シリーズ他の作品を見ていない人にはどうなんだろう?
たぶん、これを見たらEpisode 4は見ないわけにはいかなさそう。
そんな中、ちょうど都合の良い時間に見たい映画をやってたので
レイトショーでゆっくり楽しんできた。
映画は、Premiers Crus 邦題ブルゴーニュで会いましょう
久々のフランス映画。
ブルゴーニュの荒々しい土地と気候が
美しく(こういのを綺麗にと言っちゃいけないような気がする)描かれている。
日本では『ありきたりのストーリー』とか言われちゃうんだろうな。
でもこのくらい薄味のドラマのほうが、Gérard Lanvin, Jalil Lespertなどの俳優や
カメラのDavid Ungaroの持ち味が光って、安心して見れて、
じっくりとブルゴーニュの世界観にひたれる100分間。
Jérôme Le Maireの作品を見るのは初めてだけど、良い感じ。
むかし見たMondovinoを彷彿とさせるエピソードがちらほら。
そりゃ、影響されてないわけないよな(^_^;)